愛されることに 慣れていなくて
私が落ちても、この子だけは怪我をさせてはいけない。しっかりと抱えた。
ダメだ、もうバランスを保てない。

覚悟を決め目を閉じた瞬間、後ろからがっしりと支えられた。
もう今は、後ろからでもわかってしまう。隼人さんだ。

「菜々子大丈夫か」

「だ、大丈夫です」

支えられたまま答えた。

「しょうちゃん!」

階段下から女性の叫び声が聞こえた。
この子の母親だろうか。

隼人さんは、そのまま、私の体制を整えてくれた。
同時に女性が駆け寄って来た。

「しょうちゃん!」

私の腕の中にいた男の子は、母親を見た途端、大声で泣き出してしまった。

「しょうちゃん、よかった。よかった」

子供を抱きしめながら、彼女は私たちに
「すみません、ありがとうございました」と繰り返した。

「下の子に気を取られすぎて、気がついたらこんなところまで… 私はなんて母親なんでしょう。ごめんねしょうちゃん、ママが悪かった」

彼女は自分を責めていた。
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