愛されることに 慣れていなくて
私たちと子供に謝り続け、自分を責める母親が、とても気の毒だった。時に子供は予想だなにしない行動をとってしまう。下の子がいて、その子に気を取られていれば、また今のようにとんでもないことが起こってしまうかもしれない。

本当に無事でよかった。


私は身体を反転させ彼と向かい合った。
私は上段にいるので、いつも見上げていた顔が、すぐそこにある。

「隼人さん、ありがとう」

「無事でよかった」

彼の安堵した表情に申し訳なくなった。

「ごめんなさい。貴方にも怪我をさせるところでした」

「謝るな、菜々子」


私の視線は、彼の目から離れ、階段下のベビーカーへと向いた。そのベビーカーには、赤ちゃんが乗せられている。
もしかして、あの子に気を取られていたのかなと思っていると、ベビーカーを守るように立っているスーツ姿の男性が目に入った。

彼は私に深々と頭を下げる。

どこかで見たような……

あっ!

その時、私の記憶は一気に中学2年の桜舞う季節へと飛んだ。


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