愛されることに 慣れていなくて
「隼人さん、あなただったんですね。今まで思い出せずに、ごめんなさい」

「何で菜々子が謝るんだ」

「だって…」

「中途半端なところで思い出されなくてよかったよ」

「え?」

「俺は、今の俺を見て欲しかったから」

「隼人さん…」

「菜々子、ちゃんと今の俺を見てくれているか?」

彼女は頷いた。

「でも、あの時、どうして泣いていたのかは気になります」


「隼人さま、荷物はあちらへ運びましたので、私は失礼いたします」

気を遣ったのか、早水さんが部屋を出ていこうとした。

「早水さん、ちょっと待ってくれ」

俺は彼を呼んだ。

「菜々子、彼を覚えているか?」

「はい、私の描いた絵を褒めてくださいました」

「俺の執事の早水さんだ」

「早水と申します」彼が深くお辞儀をすると、彼女も「日向菜々子です」と深く頭を下げた。

「ずっと俺のことを支えてくれている。彼がいたから、君を見つけることができたし、今こうして君とここにいる。彼の顔を一度見ている君が、彼を見れば全てを思い出すかもしれない。俺があの時の子供ではなく、一人の男として見て欲しい、そう思っていたから、彼は今まで君の前には現れなかった。だが、もうその必要はない」

俺は立ち上がり早水さんの前に立った。

「早水さん、ありがとう」

「とんでもないことでございます!」

「これからも、支えてくれるかな。俺と菜々子を」

「もちろんでございます。この身が朽ちるまでお仕えさせていただきます」

「だから朽ちるって」

「隼人さま、私は戻ります。何かありましたら、ご連絡ください。」

「わかった」

彼は部屋を出ていった。

俺は、彼女の横に腰掛け、髪を撫で、ブラウンの瞳を見つめた。

「全てを君に告白する」



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