愛されることに 慣れていなくて
隼人さんがお店のドアをガラガラと開ける。

「こんばんは」

「あらぁ〜、いらっしゃい、待ってたわよ。さっ、早く入って入って」

隼人さんはいつものように私の背中に腕を回し、エスコートしてくれた。

店内はスタンド生花が壁際に並べられている。その中には久我山ホールディングス会長名のものもあった。

「この度はおめでとうございます」

「菜々子ちゃん、ありがとう。さっ、こちらへいらっしゃい」

「大将、花さん、これ」

隼人さんが早水さんの持っていた花を渡すと、花さんの表情がパッと明るくなった。

「まぁ、なんて綺麗なんでしょ、ほら、あなた、見て」

「ホントだな、綺麗だ。ありがとう」



「早水さん、待って。貴方もこちらへどうぞ」

「いいえ、私は」

花さんが、この場から離れようとする早水さんの腕を掴む。

「早水さんは祝ってくださらないの?」

「そんなことはございません!」

「だったら、入ってください」

早水さんが隼人さんの方を見る。
隼斗さんは微笑み頷いた。

「では、失礼して、私はこちらに」

お店の隅にあるテーブル席の一番入口に近い椅子を指した。

「どうしてそんな隅に」

花さんが奥へ行くよう促したが「いいえ、私はこちらで十分でございますと」拒んでいた。

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