愛されることに 慣れていなくて

★ 母の想い

【花様】

封筒の表にはそう書かれている。

俺はゆっくり中身を取り出した。

【花ちゃん、あなたがこの手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にはいないのね。
治療法を康介さんも、お父様も、必死に探してくださったけど、結局見つけることができませんでした。今の私は、康介さんに何もしてあげられない。足手纏いになるだけです。それだけは絶対に避けたい。それに、隼人をキャリアにしてしまったかもしれない。私の宝物に、久我山家の大切な跡取りに、取り返しのつかないことをしてしまった。検査結果を聞くのが怖い。怖くて怖くてたまらない。
康介さんは私にたくさんの幸せをくれた。私は彼に苦痛しか与えられない。もうこれ以上、彼を苦しめたくはありません。
花ちゃん、康介さんはとても不器用な人だから、きっと隼人への愛情表現が上手くできずに、隼人に寂しい思いをさせてしまうかもしれない。もし、隼人が孤独を感じ、押し潰されそうになったり、心を閉ざすようなことがあれば、どうか隼人のことを頼みます。
わがままばかり言ってごめんね。椿 】



「なんだよこれ……」



「だったら、俺の記憶はいったい何なんだよ……キャリアってなんなんだよ……」
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