愛されることに 慣れていなくて
「坊ちゃん!」
黒いスーツを着こなしたスレンダーな男性が足速に近づいてくる。近づいたかと思うと膝をつき
「こちらにいらっしゃいましたか。心配いたしました。さあ、参りましょう。おや?これは坊ちゃんが好きなレンジャーブルーではないですか?それにこのキャラクターたち」
男性が私の顔を見る。
「あなたがお描きになられたのですか?」
「はい」
「なんと素晴らしい。坊ちゃん、良かったですね」
「うん」
「さあ、参りましょう。では、失礼いたします」
彼は私たちに深々と頭を下げ、男の子の手をとり去って行った。
男の子は、姿が見えなくなるまで何度も私たちの方を振り返っていた。
「あの子、おぼっちゃまなんだね。なんでこんなところで泣いてたんだろう」
「さぁ、お母さんもわからないわ」
「でも、ちょっとだけ笑ってくれたからよかった。もう泣いてないといいな」
「そうねぇ、大丈夫かしらね」
少し冷たい風が吹く。
「お母さん、部屋に戻ろうか」
「そうね」
「お母さん、私ね、将来お母さんみたいな保育士さんになりたいんだぁ」
「あら、絵は?」
「絵は好きな時に描く。保育士になりたい。お母さんみたいに、いつでも子どもたちの味方になってあげられる保育士」
「そう。菜々子ならきっと優しくて人気者の保育士になれるわ。お母さんが保証する」
「うん!」
それから半年が経った中学3年の秋、母は空へ旅立った。
黒いスーツを着こなしたスレンダーな男性が足速に近づいてくる。近づいたかと思うと膝をつき
「こちらにいらっしゃいましたか。心配いたしました。さあ、参りましょう。おや?これは坊ちゃんが好きなレンジャーブルーではないですか?それにこのキャラクターたち」
男性が私の顔を見る。
「あなたがお描きになられたのですか?」
「はい」
「なんと素晴らしい。坊ちゃん、良かったですね」
「うん」
「さあ、参りましょう。では、失礼いたします」
彼は私たちに深々と頭を下げ、男の子の手をとり去って行った。
男の子は、姿が見えなくなるまで何度も私たちの方を振り返っていた。
「あの子、おぼっちゃまなんだね。なんでこんなところで泣いてたんだろう」
「さぁ、お母さんもわからないわ」
「でも、ちょっとだけ笑ってくれたからよかった。もう泣いてないといいな」
「そうねぇ、大丈夫かしらね」
少し冷たい風が吹く。
「お母さん、部屋に戻ろうか」
「そうね」
「お母さん、私ね、将来お母さんみたいな保育士さんになりたいんだぁ」
「あら、絵は?」
「絵は好きな時に描く。保育士になりたい。お母さんみたいに、いつでも子どもたちの味方になってあげられる保育士」
「そう。菜々子ならきっと優しくて人気者の保育士になれるわ。お母さんが保証する」
「うん!」
それから半年が経った中学3年の秋、母は空へ旅立った。