愛されることに 慣れていなくて
さて、どうするか…

このまま、彼女を連れ去ろう。

とにかく、あの男から遠ざけなければ。

俺の自宅はセキュリティも万全だ。使っていない部屋もある。

俺は彼女を自宅マンションに連れて行くことにした。


昨日の俺には想像もできなかった現実がここにある。
けれど、彼女の口から「初めて会った見ず知らずの方」と発せられた時、この現実が一方的な想いであることを思い知らされた。

一人の男として見てもらいたと思ってはいたものの、一方では、出会った日のことを覚えていて欲しいという願望も少なからずあった。

見ず知らずという言葉は、俺と彼女を仕切る無機質な壁のように感じられた。

後部座席に座った彼女がバックミラー越しに俺を見ていることに気づいた時、もしかしたら俺のことを覚えているのかもしれないと期待した。けれどそれは、俺の思い過ごしだった。そんな自分自身に失笑した。

覚えてくれていないのならそれでもいい。
今、この時から、俺を男として見てもらう希望が持てるからだ。

もう遠慮はしない。
日向菜々子、俺は君を振り向かせる。

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