愛されることに 慣れていなくて
「おはようございます」

「おはよう」

寝起きの声も色気がありすぎる。
品の良さは寝起きにまで現れるものなのだろうか…
私はこの人に抱きしめられ、見つめられ、告白された。

今でも信じられない。

モデルのようなルックスにセクシーな低音ボイス。ハイスペックで久我山グループの御曹司の彼が、至って平凡な幼稚園教諭の私なんかを…しかも私の方がかなり年上だ。

真太郎と同い年くらいだろうか…
同い年くらい?
だったらこの差は一体なんなのだろう。人を比べてはいけないと子供たちに言っているのに、つい比べてしまった。
真太郎が子どもすぎるのか?彼が大人すぎるのか?

ダメだダメだ!比べてはいけない!

頭の中から必死に真太郎を追い出した。


彼が席に着き、昨夜のように「いただきます」と手を合わせて箸を持つ。その所作が美しくて見惚れてしまう。

「美味な」

「よかったです」

どうやら口に合ったようだとホッとした。

「眠れなかったのか?」

「え?」

「目の下にクマができてる」

「え、ええ、まぁ」

化粧で誤魔化したつもりなのに見事にバレている。

「仕事、大丈夫か?」

「あ、はい、大丈夫です」



玄関で彼を見送ると、私を見つめ「仕事、気をつけて行くんだぞ」と微笑んでくれた。
< 60 / 185 >

この作品をシェア

pagetop