愛されることに 慣れていなくて
「菜々子」

「はい」

「本当に俺の分の夕飯は作らなくていいからな」

「でも…」

「深夜に食わせて俺を太らせる気か?」

「え?そういうわけでは…」

「本音を言えば、毎日でも菜々子の手料理を食べたい。だから、頼みがある」

「なんでしょうか?」

「俺が休みの日に作ってくれ」

「それはもちろん構いません。食べたいものを言ってくだされば、作らせてもらいます。お休みは日曜ですか?」

「基本は土日だが、突然仕事が入ることがある。菜々子は日曜が休みだよな。土曜は交代制か?」

「はい。幼稚園の行事がなければ日曜日は休みで、土曜日はシフト制です」

「わかった。だったら日曜日に頼んでいいか?」

「かしこまりました。リクエストはございますか?」

「菜々子の得意なものがいいな」

「得意と言われましても、得意なものがありません」

「だったら何でも美味いということだな」

「え?どうしてそのような思考になるのでしょう」

彼はフワッとした笑みを浮かべた。

「菜々子が作ってくれる。それだけで美味い」

「え?塩と砂糖を間違えてもですか?」

「菜々子は間違わない」

「そうですね、間違うことはないと思います。では、任せていただいて構いませんか?」

「ああ、構わない」

優しい眼差しがそこにある。
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