美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「「マジで!!?」」

「うん。妊婦に“大丈夫ですよ。落ち着いてください”って、必死に言い聞かせてた。
単純に、凄いなって思った。
他の乗客や駅員はただ見てるだけだったのに、季帆ちゃんは背中をさすりながら、妊婦を気遣ってた。
……………その時からかなぁー
季帆ちゃんのこと、気づいたら目でいつも追うようになったの」

「へぇー」

「電車で席を譲ってあげたり、年寄りの乗り降りを手伝ったり、大学でも友達の為にノートとってあげたり、いつも他人を気遣ってた。
ずーっと季帆ちゃんのこと見てたら、目が離せなくなって………
━━━━━━好きになってた━━━……」

「そっか!」
「確かに、十河ちゃんって心、綺麗だもんな」

「うん。
外見のこと、みんな言うけど……
僕は“本当の”美人って、内面から滲み出るものだと思う。
季帆ちゃんは、そうゆうところが可愛くて綺麗だよ!
照れた顔も、緊張してる顔も、真剣に取り組んでる顔も全部……可愛くて大好き!」

「━━━━でもよ!
同棲ってのは、びっくりした」
大成が言う。

「あぁ」

「だいたい、神威が女に夢中になってるってだけでも信じらんねぇのに」
大成の言葉に、昌磨も頷く。

「それは━━━━━」


そして一方の季帆。
講義を聞きながら、ふと窓を見た。
自分が映っていた。

どうすれば、神威くんに相応しい女になれるのかな?

「わ…このワンピ可愛い~」
季帆の前に座っていた女子学生が、スマホのネットを見ていた。

(ほんと、可愛い…/////)
つい、後ろから見入ってしまう。

こんな可愛い格好、してみたい……!

『季帆、似合うと思うよ?』
季帆のたった一人の友人、明星(あかり)の言葉が蘇った。
以前、一緒にショッピングをしていた時、同じようなワンピースを見て明星が言った言葉だ。

(よし!!)
講義が終わり、神威の待つ学食に向かいながら、季帆はスマホを操作し思いきって購入したのだった。

その時スマホに気を取られて、ドン!!と前にいた学生とぶつかる。
「…っあ!ご、ごめんなさい!!」

「ちょっと!!ちゃんと前見なさ━━━━━あ、あんた……」
「あ…」
季帆は、相手を見て思わず後ずさる。

相手の女も、罰が悪そうに季帆を素通りした。


季帆はバッと走りだし、学食の近くの木陰に隠れた。
「はぁはぁ……」
動機がして、震え出す季帆。


季帆の頭の中に、恐怖が蘇っていた━━━━━━━
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