美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
ずーっと一緒にいよ?
神威と季帆が交際を始めて半年が経った頃━━━━━
季帆は半年経って、神威に別れを告げようかと悩んでいた。

それは季帆への嫉妬から、先程ぶつかった女子学生達に嫌がらせをされていて、耐えられなくなってきたからだ。

「神威くん」
「ん?」

「あの…ね…」
「うん」

「あの……」
「季帆ちゃん?」

「………や、やっぱ、何もない」
「どうしたの?なんか、悩み?」


ただ、別れを告げる。
簡単だ。
「別れたい」って言えばいいだけ━━━━━


季帆は、首を横に振った。
「ううん。
私、行きたいとこがあるの。
◯◯って公園で━━━━━━━」

季帆は、言えなかった。
神威との優しく穏やかな安心する時間を、失いたくないと思ってしまったから……


しかし季帆への嫌がらせのことは、それからすぐに神威の耳に入ることになった。

ある日━━━━━━

「じゃあ、またね!
ここに迎えに来るから、待っててね!」
その日の次の講義は、神威と季帆は別々の講義を受けている為、季帆の講義を受ける講義室の前で別れ、神威は自身の講義室に向かっていた。

その途中のベンチの方から、女性数人の声が聞こえてきたのだ。

「━━━━━━まだ言ってないみたいよ、あいつ」
「はぁ!?まだー」
「早く別れろっつうの!!」

「地味女のクセに、調子乗ってるよねー」
「てか!
鏡見てみろって感じー!」
「あんなブスと一緒にいたら、私の神威くんが穢れるー!」

最後の言葉で神威の歩みが、ピタリと止まった。

身体の奥底が、冷えていく感覚。
そして、頭だけが熱くなっていく。

神威は、女子学生の元へゆっくり歩み寄った。
「━━━━━恐ろしい話してるね」

「ひっ…!!?」
「う、嘘……」
「か、神威くん……!!!?」
女子学生達は、驚き固まる。

「あいつって誰のこと?」
「え?」

「“あいつ”って誰?」

満面の笑みの神威。
その笑顔が逆に恐ろしい。

「そ、それは……」
「まさか、季帆ちゃんのことじゃないよな?」

「………」
肯定するように、黙り込む女子学生達。

「あーそうか!
だから最近の季帆ちゃん、様子がおかしかったのかぁー」
神威は、納得したように声を張り上げた。

「………」
「━━━━━絶対、別れないからね」

「「「え……」」」

「僕の方が、季帆ちゃんのこと大好きだから!」

「神威くん…」

「あとぉー
君達こそ、鏡、見てみなよ!
スッゴい汚い顔してるから!!
万が一季帆ちゃんと別れたとしても、君達と付き合うどころか、関わることも嫌だよ」

神威は、そう言い捨て去ったのだった。
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