謎多き旦那様の嘘、または秘密
そうだ、私はもうずっと壊れていた。
立ち上がり、痛む足を引き摺って夕陽へと近づく。
きっと、今なら飛べる。
どこへでも行ける。
どこかへ、行ける?
気づいたら窓ガラスへ体当たりして宙に居た。内臓がふわりと浮いた感覚には、よく殴られ飛ばされていたので慣れている。
飛べた、と思ったのは一瞬で。
すぐに重力に負けて落ちた。落ちる前から全身痛かったから、今の痛みが何によるものなのかは分からない。
ただ、視界いっぱいに広がる血を見て、死ぬんだなと思った。
死んでも良かったけど。
あのお客様、次もちゃんとポイントカード持ってきてくれるかな。