謎多き旦那様の嘘、または秘密
面倒くさそうだったから、勧めないほうが良かったかな。
死ぬ前には走馬灯を見るというけれど、思い出したのは先日あったことだった。
私の毎日は薄っぺらいから。
でもあの人いつも、ちょっとだけ血の匂いがする。
鉄の、私から今してる匂いと同じ……。
はっと目を覚ますと、ベッドの上だった。
酷い汗で、胸元や背中がぐっしょり濡れている。
部屋の中は暗く、ここがどこなのか分からず、パニックになった。
「う、ああ、あああ!!」
腕の傷はガラス片が刺さったものだけじゃない。足もただ落ちて折れたわけじゃない。