謎多き旦那様の嘘、または秘密
お粥を食べながら話を聞くと、私は記憶喪失になったらしい。
「乗っていたバスが横転して、君は窓から外に投げ出された。頭を強く打った後遺症が残るかもしれないと言われていた。今は医者が週に二回来て、診てくれている」
彼は淡々と話した。私はふんふんと聞いた。
「ここは私の家?」
「ああ」
「あなたは誰?」
「君は自分のことは分かるのか?」
その言葉に首を振った。
全く、何も、思い出せない。
「そうか。君と僕は一緒に暮らしている。君は謂わば僕の……奥さん?」
考えながら出された答えに、少し笑ってしまう。