目は口ほどに物を言うと言いますが 〜筒抜け騎士様は今日も元気に業務(ストーカー)に励みます〜
アメリアの目の前には、本を差し出すルーカスの姿があった。
「あ、ありがとうございます……」
小さな声でお礼を言って、アメリアはおずおずとそれを受け取った。
もう会えないと思っていた相手に早々に遭遇することになってしまい、ルーカスの目を見ることができない。
たとえベール越しだとしても、彼の瞳にまっすぐ見つめられると心臓が飛び跳ねて、胸の奥が疼いてしまうから。
「それでは私はこれで……」
本をぎゅっと抱きしめて火照った顔を隠そうとする姿を満足そうに眺めたルーカスは、丁寧にお辞儀をすると階段を降りていった。
(他の階に用事があったのかしら)
もしかすると五階から降りてくる途中、必死に手を伸ばすアメリアをたまたま見つけて助けてくれたのかもしれない。
『貴方の気持ち、気づいてますか? 〜運命の人と幸せになる方法〜』
こんな胡散臭い本に興味があるのだと、ルーカスにそう思われてしまったかもしれない。
アメリアがそのことに気がつき、どうしようもなく慌てふためくのは、彼が立ち去ってすぐのことだった。