野良狼と野良少女
ブーッ、ブーッ…
「あ、壮馬さんから電話…」
「チッ、何簡単に連絡先教えてんの。これに関しては俺まじでキレてんだけど」
スマホに表示された壮馬さんの名前を睨みつける一ノ瀬くんの目つきは元ヤンそのもの。
一ノ瀬くんの地元にはそんな人しかいないのか…
や、壮馬さんも太郎君もニコニコしてたっけ。
となるとあの二人も怒らせたら怖いの…?
「貸して。俺が出る」
「あ、」
「どの面下げて電話してきやがったクソ野郎」
私の手から奪われたスマホで通話に出て、スピーカーにする一ノ瀬くん。
先輩相手とは思えない口の悪さに私は唖然とした。
ほんとにヤンチャだったんだ…
黒髪に戻ったし、 “ 一ノ瀬くん推し ” の子たちが現れたり、先生たちにも安心されてたから忘れかけてた。
彼はアイドル気質なんかじゃない。
元野良狼、元ヤンチャ中学生は健在でした。