野良狼と野良少女
『怖いな〜俺が電話したのは口の悪い元ヤンじゃなくて可愛い可愛い羅奈ちゃんなんだけど』
「名前で呼ぶな、キモイ」
『へぇ、今まで俺にそんな口きいたことなかったのに彼女の事になると豹変するんだ』
「やっぱり1回殴らせろ」
「ちょ、一ノ瀬くん…!」
物騒すぎる発言にもはや驚かなくなりそうだ。
今を時めく新人俳優だから顔は困るかな、なんて壮馬さん。
それも嘘じゃなかったんだ…
『いやぁ〜、俺にとっちゃエミリも一応可愛い幼なじみだからね。旺太に彼女なんてさすがにちょっかい出すでしょ』
「出さねえよクソ野郎」
「一ノ瀬くんこの人一応先輩…」
「俺の彼女に許可なく電話すんな近寄んな、酔っ払わせて持ち帰ろうとすんな」
それに関してはお酒飲んじゃったの私の失態だけど。
『エミリのミスは幼なじみの俺がカバーしてあげようと思っただけ。あとシンプルに羅奈ちゃんがタイプで』
プツッ……ツー、ツー、ツー…
乱雑に電話を切られた私のスマホは一ノ瀬くんにより壮馬さんの連絡先が削除されたのであった。
先輩にはちょっと申し訳ないけど、まあいいか。