この嘘に、ピリオドを
「私、仕事してるの。今回日本に帰って来たのは結婚式に参加してほしいって言われたから、有給を貰って来たの。家から出さないって私、二週間もしたらアメリカへ帰らないといけないんだけど」

「仕事なんてやめろ。結婚して家庭に入れ。お前の職場には私から言っておく」

「あなたとお見合いをしてくれる方は、すごく優秀でいい人よ。そんな人と結婚できるなんて嬉しくない?」

両親に強く肩を掴まれながら左右から言われ、心春の心は恐怖に染まっていく。眠ることを許されないまま夜通し「見合いをしろ、結婚をしろ」と言われ、食事も取ることを許されなかった。

「結婚したくないって言ってるでしょ!!」

心春がそう言うと、「いい加減にしろ!」と父から頰を叩かれた。痛みに心春はただ泣くことしかできなくなっていった。

「この振袖、お母さんもお父さんとお見合いをした時に着たのよ」

抵抗する気力を失った心春は、母の赤い振袖を着せられ、顔にメイクを施され、お見合い相手が待つ料亭へと連れて行かれたのだ。
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