この嘘に、ピリオドを
(この感情の名前はーーー)

心春がその感情の名前を知りそうになった時、両親の足が止まる。この襖の向こうにお見合い相手がいるのだ。心春の顔が無表情になり、心の中は空っぽになっていく。

「少し遅れてしまい、申し訳ありません」

襖を開けて両親が頭を下げる。その後ろ姿をぼんやりとした頭で心春は見ていた。

六人で会食をするには無駄に広い個室には、向かい側にお見合い相手の総司とその両親が座っている。

「こんにちは」

総司が挨拶をする。その声は緊張と嬉しさが混じったような声だった。縁談を成功させて出世したいのだろう。そう冷めた心で思いながら、心春も「……こんにちは」と挨拶だけは返しておく。

座布団の上に座った後は、心春は何も話さずただ俯いていた。どうせ結婚をさせられるのだから、相手と仲良く話す必要などはないと思っている。

「こんなに可愛らしいお嬢さんとうちの息子が結婚なんて、もったいないくらいですな」

「本当、とても可愛らしいお嬢さんですね。その振袖もよく似合ってらっしゃるわ」
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