課長に恋するまで
 火曜日の午後九時。

 会社帰りに銀座の並木通りにあるビルを訪れた。
 黒光りするビルのエントランスには滝が流れてて、シャンデリアがあって、威圧するような高級感が溢れている。

 ビルの出入口で出迎えるように停まってるのはタクシーではなくハイヤーらしき高級車が多い。
 高級車から降りてくる人は、みんな体格に合ったスーツを着てる。
 オーダーメイドのスーツだろう。生地も良さそうだ。
 仕事柄、生地には詳しいのでちょっと見ただけでも良し悪しはわかる。
 
 どうやらここは高級クラブが集まるビルのようだ。
 ゆかりってホステスがいるクラブは七階に入っていた。

 エレベーターの前までは来たけど、怖くて先に進めない。
 だって、さっきからエレベーターに乗って行く人たち、どう見ても普通のサラリーマンには見えない。

 もしかしてヤクザ……なんじゃないだろうか。

 そう思える人が何人も私の横を素通りして行った。

 怖い。

 中に入ってヤクザの集団と対面したらどうしよう。

 でも、鈴木さんの為だ。
 ぐっと腹筋に力を入れて、エレベーターに乗り込んだ。
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