課長に恋するまで
 課長が席を立って、ウーロン茶を出してくれたホステスさんと二人きりになる。

「るみ子です」

 ホステスさんから名刺を頂いた。
 慌てて、カバンから名刺入れを出して、私のもるみ子さんに渡した。

「一瀬美月です」
「上村さんと同じ職場なんですか」

 名刺を見ながらるみ子さんが言った。

「はい。上村さんは上司です。あの、上村さんはよくこちらに来るんですか?」
 気になった事を聞いた。
 るみ子さんが考えるような顔をした。

「そうですね。時々いらっしゃいますよ。今日みたいにお一人で来る事はないですけど。いつもはお仕事関係の方といらっしゃいますね」

 仕事関係という事は接待でよく使うお店なんだ。
 課長が個人的に来てるって訳ではないんだ。ちょっとほっとしたな。
 だけど、今日は一人って言ってた。

「あの、ゆかりさんと上村さんは親しいんですかね?」
「ゆかり姉さんが上村さんの担当になってますから。ママに頼んで上村さんの担当にしてもらったって聞きましたけど。元々上村さんはママのお客様ですから」

「るみちゃん、ちょっとお喋りよ」
 優しく諭すような声がした。
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