課長に恋するまで
「全くそのような関係ではございません」

 ゆかりさんがハッキリと言い切った。
 嘘をついてるようには見えない。

「じゃあ、なんで鈴木さんは奥さんに嘘をついてまで家を空けたんですか」

 苛立ちが声に出た。
 ゆかりさんが絶対に関係していると思ってたから、当てが外れてショックだ。

「そんな事、私に聞かれても困ります」

 ゆかりさんが迷惑そうに言った。

「お酒、召し上がりませんか?私は飲みたくなりました」

 ゆかりさんに勧められて、飲みたくなった。
 カクテルメニューもあってカシスソーダを頼んだ。

 ゆかりさんも同じ物にした。
 ウェイターさんがテーブルに届けてくれた。

「とりあえず、乾杯」

 ゆかりさんに合わせて、乾杯をした。
 カシスソーダを飲んで、ある事に気づく。

「そういえば課長は?」

 課長は席を立ったまま戻って来ない。
 店内のどこかにいるんだろうか。

「上村さんですか?」

 ゆかりさんに聞かれる。

「はい。上村さんはどちらにいるんですか?」
「お帰りになりましたよ」
「え」
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