課長に恋するまで
「今度は横浜まで行かない?」

 ワインを飲みながら聡さんが言った。

「横浜ですか?」
「この間みーちゃん、横浜の素敵な洋館に行ったって言ってたでしょ?それで僕も行きたくなって。横浜の山手西洋館って所が面白そうだよ」

 パーティーの夜が浮かぶ。
 タキシード姿の課長、素敵だった。
 二人で月を眺めて……。

「みーちゃん、聞いてる?」

 聡さんの声にハッとした。

「あっ、ごめんなさい。ぼーっとしちゃって」
「疲れた?」
「少し」
「じゃあ今夜はもう帰ろうか」
「あ、はい」

 聡さんが寂しそうに笑った。

「本当に帰りたいって感じで言うんだね」

 聡さんがため息をついた。

「みーちゃんは誰を見てるの?」
「え」
「僕はここにいるんだよ。だけどみーちゃんは僕を見てない」
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