課長に恋するまで
 思えば、一瀬君に避けられるようになったのはその次の日からかもしれない。
 
 僕を警戒してるのか?

 それとも話し過ぎてしまった事を後悔してるのか。
 かなり一瀬君は気にしてるようだった。
 それだけ深い悩みなのかもしれない。
 安易に大丈夫だと言ったのは無責任だっただろうか。

「その子の事、上村さん、気になるんでしょ?」

 ゆかりちゃんが言った。

「え」
「そんな感じに見えますよ」
「まあ、気になると言えばそうかな」

 ウィスキーを飲んだ。ほどよい苦味が喉に染みる。

「普通にして欲しいんだけどね。少し仕事がしづらいというか」
「それだけですか?」
「他に何があるんです」
「女性として意識するとか」

 笑った。

 ありえない。23才の娘とそう年の変わらない一瀬君をそんな目で見るなんて。
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