愛のかたち
次の翔の出張の日を待って、彩華は『いとう家』に向かった。
「いらっしゃい」
今日は健太の声がよく通る。珍しく店は静かだった。いつもより声を落として「こんばんは」と答えてから見渡すと、カウンター席に一組の客しかおらず、好都合だ、と思ったその時。
「あっ……」
奥に進んだ彩華は思わず声を上げた。死角になっていたカウンターの端に野上が座っていたのだ。彩華が挨拶すると、野上はいつもの穏やかな笑顔を見せてから入口を振り返った。翔を確めたのだろう。野上とは、あれ以来会っていなかった。
「翔は後から?」と聞く健太に、今日は一人だと答えると、ほんの一瞬健太の目が泳いだのを彩華は見逃さなかった。
「いらっしゃい」
今日は健太の声がよく通る。珍しく店は静かだった。いつもより声を落として「こんばんは」と答えてから見渡すと、カウンター席に一組の客しかおらず、好都合だ、と思ったその時。
「あっ……」
奥に進んだ彩華は思わず声を上げた。死角になっていたカウンターの端に野上が座っていたのだ。彩華が挨拶すると、野上はいつもの穏やかな笑顔を見せてから入口を振り返った。翔を確めたのだろう。野上とは、あれ以来会っていなかった。
「翔は後から?」と聞く健太に、今日は一人だと答えると、ほんの一瞬健太の目が泳いだのを彩華は見逃さなかった。