愛のかたち
『夕方には帰れる』

 翌日送られてきた翔からのメールに、彩華は『話がある』と返信した。
 しばらくしてから、『わかった』と返信があった。恐らくそれで、翔は察したはずだ。
 心づもりのない翔に、帰宅後、突然問い詰めるような真似はしたくなかった。翔へのメールは、傷付いた彩華のせめてもの気遣いだった。

 帰宅した翔は、力のない声で「ただいま」と言うとソファーに腰を下ろし、彩華に目を向けた。
 心を決めていたはずなのに、いざ翔を目の前にすると気持ちが揺らいだ。お互いが言葉を待っているようだった。
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