愛のかたち
「だったら、うちの会社に来ないかなぁと思ってね」

 突然の野上の提案に、彩華は驚きで目を見張った。

「いえ……私、本当に何も出来ないんです。インテリアとか家具のことなんて全然わからないし。野上さんのお気遣いは本当に有難いんですけど、お気持ちだけ頂戴します」
「一度見に来るだけでもどうかな。一応簡単な面接はするつもりだけど」

 丁重に断ったつもりだったが野上が食い下がり、彩華は返答に窮した。
 野上の気遣いは有難かったが、そんな野上だからこそ余計に迷惑をかけるわけにはいかないと思ってしまうのだ。

「面接なんて言ったら緊張しちゃう? まあ一度覗きにおいでよ。社会見学ってことでさぁ。無理だと思ったら遠慮なく断ってくれたらいいし」

 野上は気さくに、遊びにでも誘うかのように言った。

「そう言ってくれてるんだから、一度行ってみれば?」

 と健太にも後押しされ、「じゃあ、一度伺わせていただきます」と返事をした。
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