初めては好きな人と。
 嬉しい…。
 護も、私と同じ気持ちでいてくれたことが、すごく嬉しくて、止まっていた涙がまた溢れて頬を伝う。それを、護の指が優しく掬い取った。

「美月。俺、美月が初めての恋人だから、慣れてなくて今回みたいに美月を不安にさせちゃうこともあるかもしれないけど…、そうさせないために頑張るから、これに懲りずにどうかこれからも俺のそばにいてほしい」

 その言葉に、私はなんども首を縦に振って返事をした。

「うん…うん、私も、頑張るから、護のそばにいたい」

 涙でぐちゃぐちゃの顔に、キスが落とされる。涙を拭うように、頬に、瞼に、そして唇に何度も何度も優しく口づけられた。
 恥ずかしさに顔が真っ赤になってる私を護は「かわいい」と笑う。

 そしてきつく抱きしめると、護はとんでもないことを私の耳元でささやいた。

「ねぇ、美月…。美月の全部が欲しい」

 そ、それって…、つまり…。

 ボンッ、と私の顔が爆発する。

「え…、えぇっ…と」
「ごめん、もう我慢の限界なんだ」
「ひぁっ」

 私の返事を待たずに、護は私をひょいっと抱き上げると、有無を言わせずに寝室へと直行する。
 ベッドの上に、そっと降ろされたかと思えば、すぐに視界が覆われて口づけが迫る。

「んっ…」

 さっきまでの触れるだけのキスじゃなくて、息もつけない程激しいキス。それだけでも受け止めるのにいっぱいいっぱいなのに、護の熱を持った手が服の下に入り込んで私の体を撫でていく。人に触られたことのない所を隅々まで確かめるように撫でられて、そのたびに体がぞくぞくと反応してしまう。

 必死に声を押さえて、受け止めているうちに、気づけば下着姿にされていた。私の上にまたがった護は、自身もシャツを脱ぎ去ると、私の下着に手をかける。

「あ…護…待って、」
「ごめん、美月、もう待てない」

 恥ずかしさのあまり、伸ばした抵抗の手も虚しく絡め取られ、下着はするりとつま先からすり抜けていった。
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