あの頃からあなただけが好きでした

 これで……今度こそ、会えたら。
 俺はマリオンに……


「この前、友達から聞いたんだけど、マリオンはスコットと婚約したみたい」


 何ヵ月かに一度、マリオンの元ルームメイトの
クレアと会っていた。
 来年からは本格的にレストランの開店準備が始まり、俺はガーランドと王都を往復することになる。

 今度はきちんと連絡もして、本人に会うつもりだったから。
 協力を申し出てくれていたクレアからマリオンの話を聞く事も、もう要らないなと思い。
 それとなく話の流れで、感謝を切り出すつもりだった俺に、クレアが言った。


「あなたが先にレストランの話をするから後に
なったけど。
 あちらでは皆で集まって、御祝いしたみたい」

「……事前にマリオンから連絡は?」

「なかったわ、案外マリオンて冷たいの。
 私に連絡してくれてたら、貴方に直ぐに知らせるわよ」

「……」

「会わなくなった人間には冷たいのよ、マリオンは」


 会わなくなった人間とは、自分の事なのか。
 それとも俺の事なのか。

 急に食欲がなくなり、俺は帰りたくなった。

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