甘く、溶ける、君に。



「……うん」



私にはこうしか、返せない。


ばか、本当にばか、千輝くん、ばか。



……本当にばかなのは、私。




『遥乃の前だと、制御きかなくなるんだ』




そんなの、私だってそうだよ。

触れたくなって、触れてほしくなるの。


私の方が制御なんてきかないんだよ。



『なんか。……声聞いたら会いたくなった』




電話越し、姿は見えない、声だけ。


声を聞いて、ずっと思ってた。"千輝くんに、会いたいな"って。



まさか、千輝くんのほうから言ってくるなんて。

会ったら、ダメなのに。気持ち抑えられなくなりそうで怖いのに。


だけどどうしようもなく会いたい。顔が見たい。触れたい。



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