甘く、溶ける、君に。



「ありがとね?ここまで来てくれて」



真ん中の、リーダー格っぽい負けん気の強そうな女子が一歩、前に出て私に近づく。



後退りしそうになるけど、逃げない。

甘い、香水の匂いとバッチリ黒の濃いマスカラ。


迫力に押されそうになるけど、耐える。



「ねぇ……桃井さんって、神崎先輩と付き合ってるんじゃないの?」


「……先輩とは、付き合っていません」



相手の目を見て、きちんと答える。

ここでどうするのか、どう答えるのが一番相手の逆鱗に触れないか、正解はわからないけどきっと不正解ではない。


真実。先輩とは付き合っていない。もちろん、田邊とも。



「なんだ。じゃあ瑛斗とも付き合ってないとか、いうんだ?」



腕を組んで嘲笑うかのように言ったその女子を見て、確信する。



田邊のほうだ。


田邊もほんと……私のことタイプとかいうなら、なんでこんな私と真逆の子とも関係持っちゃうのよ。来るもの拒まずって、恐ろしい。




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