甘く、溶ける、君に。
「でも、遥乃にこうして何年ぶりかに会って、やっぱり俺……」
見上げた先の千輝くんはまっすぐ前を向いていて。
私の視線に気づいたみたいで一瞬視線を向けるけど、すぐに戻してまっすぐ前を向いた。
「……嘘、なんでもない」
……なんでもない、そう言うのなら。
相手が千輝くんであっても、そうでなくても私はそれ以上何も聞かない。
さっきまで嘘のなかった千輝くんの、明らかになんでもなくない嘘。
千輝くんは、嘘が下手。
というか嘘をつかれたこと、一度もなかった。
千輝くんはいつも、まっすぐ。
それに対して私はやっぱりまっすぐとは程遠くて、こう痛感させられるなら、一緒にいない方がいいのかもしれない、って。