甘く、溶ける、君に。
「……でも、昼のことは嘘じゃない」
千輝くんは私の方を見ようとはしない。
だけど確実に私の話をしていて、私に対して話している。
雨の中で私は千輝くんを遮ることなく、聞いて、消化して、落とし込んで、どうしようかと募らせるの。
「……俺でいいのに、って思ってる。嘘だって言えたらよかったけど」
ようやく、千輝くんの顔が私の方へ向く。
このタイミングで見るのはずるい。
嘘だって言ってくれればよかったのに。
もう一度嘘をついてくれてもよかったのに。
他の人に言われたらこの言葉はいつもの"そういう関係"への誘いとしか取れないけど、千輝くんは違うの。
私の方を向いたその優しさであふれた表情と、困ったように少しだけ笑って私には触れてこようとしないところが、私の本質を理解してくれてる気がするの。