甘く、溶ける、君に。


千輝くんの反応を見ることもせず、言いたいことだけ言って自分の部屋のドアを閉めた。


手を差し伸べようとしてくれた千輝くんに対して、あまりにも失礼だったかな。


でもむしろ、嫌われればいいよ。嫌だけど、そうしてくれたほうがきっと都合がいい。


私たちは元幼なじみで、今はたまたま家が隣になっただけなの。


千輝くんに構われる資格なんてない。


"俺でいいのに"なんて言ってもらえる資格、ない。


千輝くんの優しさを受け取る資格もない。



濡れていた千輝くんの肩が思い出される。


それに胸が痛くなる。どこからくる痛みなのか、全然わからないけれど。


今まで通り、テキトーに、利用して利用される生活を送っていればいいのにそれが一瞬、嫌になって。



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