実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「ど、どうしたの、急に?」

「……姫様にはもう少し、私のことを意識していただきたいと思いまして」


 そう言ってバルデマーは、わたしの手をギュッと握る。

 バルデマーは王配になりたいだけ――――時間が無いと焦っているだけ――――そうと分かっているのに、甘い声音、熱い瞳に胸がドキドキと高鳴ってしまう。
 この程度で絆されるなんて、我ながらチョロすぎる。おまけに、今わたしがドキドキしていることも、絶対顔に出てしまっている。


「……意識はしているわよ」

「ならば、もっと。出来れば姫様には、私を好きになっていただきたいのです」


 これまでにない直接的なアプローチ。頬がカッと熱くなる。

 ここ最近、思考が『王太女や王配に相応しい人間とは』ってことに集中していたから、感情面というか……彼を好きになるっていう考えがスポーンと抜け落ちてしまっていた。


 だけど、おじいちゃんがわたしに選択肢を与えてくれた理由は、王配選びに『感情』を組み込む余地を与えてくれているからに他ならない。
 そうじゃなかったら『この人と結婚しなさい』って一言命じれば済む話だもの。

 もちろん、人間だから相性の良し悪しはあるし、能力や適性を見極めたいって理由もあるんだろうけど。


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