英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
「ああ、ティーゼ。そんな反応をされると、今すぐ全部欲しくなってしまうよ」
「ぜ、全部って……?」
 
 恐る恐る問い掛けると、クリストファーがそっと唇を寄せて、「今度教えてあげる」とはぐらかすように良い声で囁いた。そして、そのまま、何故かもう一度傷跡にキスをされたうえ、ペロリと舐められた。

 もはや理解が追い付かず、羞恥が限界を超えたティーゼは、クリストファーに抱えられたままふっと意識を失った。

              ※※※

 二人の様子を、壁際から見守っていたクラバートとベルドレイクが、涙を呑んで「本当に良かった」「これで平和が保たれる」と呟き、ようやく緊張が解けてその後に座りこんだ。

 その近くで控えていたルチアーノが、呆れたように二人の男達を見降ろした。ルチアーノは小さく息を吐くと、ティーゼ達へと視線を戻した。

「お似合いだとは思いますが、何だか惜しい気もしますね」

 魔王の友人であるのなら、宰相にとっても親しい友人であっておかしくはない。口にしたらティーゼが調子に乗りそうなので、まだ伝えてはいないが。

 そもそも、ルチアーノには友人がいた事はないので、よくは分からないでいた。

 主人も上手くマーガリー嬢にプロポーズを成功させ、どうやら承諾ももらえたようなので、ひとまずは、この平和的な結果を喜ぶべきだろう。

 さて両者の婚約祝いには何を贈ろうか、と思考を切り替えたルチアーノは、何故か主人ではなく真っ先にティーゼの笑顔を思い浮かべ、人間の少女が驚くような贈り物について考え始めたのだった。


                     了
< 218 / 218 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:69

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
★2026.4.05 ベリーズファンタジースイートにて書籍化のため、第一章までの公開中です★ 落ちこぼれ公爵令嬢だったエレスティア。 皇帝・ジルヴェストとの甘い初夜を終え ついに赤ちゃんを授かり―― 生まれてきた子はまさかの双子! しかもやっぱり特別な力がありそうで…? 『ああ、ママになった妻も可愛くてたまらないっ!』 心の中も言動にもますます愛が溢れるジルヴェストの献身的なサポートを受け、 慌ただしくも楽しい育児ライフを送る。 そんな中、エレスティアは【戦場の狂犬】と恐れられる とある王国の第二王子に突如謁見を申し込まれて…!? エレスティアの前世の記憶と 特別な魔力の謎がついに紐解かれる――! 「俺は、世界で一番幸せな夫だ」 強面皇帝の極上愛が、双子爆誕でヒートアップ!? ウブな小動物系皇妃×溺愛駄々漏れ皇帝の 異世界恋愛ファンタジー♡
表紙を見る 表紙を閉じる
★2025.06.05 ベリーズファンタジースイートにて書籍化のため、第一章までの公開中です★ 落ちこぼれ公爵令嬢だったエレスティアは、 皇帝・ジルヴェストと結婚し正式に皇妃となる。 「愛してる。愛しいエレスティア。俺の、最愛の妻」 「……っ」 ついに心も体も結ばれた2人。しかしその夜を境に、 なぜかジルヴェストの心の声が聴こえなくなっていて…。 魔力の影響があったのかと不安になる中、 エレスティアは隣国での公務へ向かうことに。 しばらく離れ離れの時間を過ごす2人だが、 エレスティアにちょっかいをかける王子の存在を知った ジルヴェストの独占欲は最高潮に達していて…!? 「離れていたのだから、一緒にいたい」 心の声は聴こえないはずなのに、旦那様の甘い言葉が止まらない!? リミッターを外した冷徹皇帝の耽溺猛攻に 初心な新妻は朝から晩までドキドキさせられっぱなしで…。 ウブな小動物系皇妃×溺愛駄々漏れ皇帝の 異世界恋愛ファンタジー♡
表紙を見る 表紙を閉じる
目をあけたら家族に虐げられている憐れな「悪女に仕立て上げられた姉」に転生していた。冷酷な獣人大公様へ嫁げ、と。こんな家追い出されたほうがマシ!「それでは、さようなら」と笑顔で別れたのだが――大公邸で出会ったのは彼が後継者に引き取ったと噂になっていた、可愛い獣耳と尻尾を持った子供!私のように寂しい子供時代にはさせないわっと決心したら、いつの間にか子供にも大公様にも大事にされていて……? ※他サイト様にも掲載

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop