だって、恋したいもん!

第百十五話  そして始まった







4限の終わりのチャイムが鳴り、

私と由依は急いで教室を出て講堂へと走った。


今日も先生がカギを開けて待っていてくれた。


二人で講堂へ入ると舞台下手で彼が手招きをして呼んでくれている。


義雄「渡邉さーん、こっちこっち!」


二人で走って舞台袖へ入った。

すると続けて他のメンバーたちも入ってきた。

秋元「よぉーし、みんな揃ったな!じゃぁMC始めっからその間に準備頼むぞ!」

全員「オッケー!」

義雄「じゃぁ渡邉さんは袖で待機しててね」

理佐「うん、わかった!」

美波「じゃぁあたしたちは客席に行ってるね」

理佐「え…誰か一人ぐらい一緒にいてよぉー」

由依「あー、じゃぁあたしが一緒にいてあげるよ」

理佐「ホント?」

茜「じゃぁあたしたち行くよ」

尾関「理佐!応援してるからね!」

理佐「うん、ありがとう」


そう言って由依以外は客席へと移動した。



由依「ここから見れるのもある意味貴重だね」

理佐「うん、何か新鮮だね♪」




そして秋元くんがステージに上がると拍手が起こった。


秋元「今日は見に来てくれてありがとう!」

と、言うとさらに拍手が沸き上がった。


そして他のメンバーもステージに上がりそれぞれの立ち位置へとついた。


秋元「今日はゲストもいるから楽しみにしといてくれよー」

と、ボーカルの秋元くんが言うとさらに拍手が沸いた。


秋元「じゃぁそろそろ行きますかー!」

と、言ってメンバーにアイコンタクトをとり斉藤くんのスティックのカウントが始まった。



そして演奏が始まり講堂内が一気に爆音に包まれた。

まだ講堂へ入っていなかった生徒たちも急ぎ足で入ってきた。


そして一曲目が終わり二曲目へと続いた。



さぁ、これが終わるといよいよ私も行かなければならない。


私は人という字を左手に書いては飲んでいた。


由依「落ち着け落ち着け!みんな同じ学校の生徒じゃん」

理佐「うん、そうだけどぉ…」

由依「あんたなら大丈夫だって」

理佐「うーん…」

と、由依になだめられているうちに曲が終了した。


そして、


秋元「それでは三曲目は特別ゲストを迎えてやりたいと思います」

秋元「じゃぁ入って来てー♪」

と、言われ私は舞台袖からキーボードのところまで小走りで行った。


秋元「オレたちずっとキーボードがいなくて…」

秋元「でも今回ゲストとして一曲だけど参加してくれることになりました渡邉さんでーす!」

と、紹介されピンスポットに照らされ私はお辞儀をした。

客席からは大きな拍手が起こりびっくりした。


秋元「じゃぁ早速行くよ!オッケー?」

と、言うと彼が私の方を見てコクンと頷いて笑ってくれた。


あ…


何だかすごく力が抜けた感じがする…

そして舞台袖を見ると由依も手を振ってくれている。

すると客席から…

「理佐がんばれー!!」

と、聞こえてきた方を見ると三人が手を振ってくれている。

みんないるんだ、頑張らなきゃ!


そしてドラムの方を見ると私の様子を見てくれていた。

私が頷いて合図をすると、

「オッケー?」

とジェスチャーで聞いてくれた。

そしてもう一度頷いて合図をした。



そしてドラムスティックのカウントが始まった。







第百十六話へつづく…










< 120 / 208 >

この作品をシェア

pagetop