だって、恋したいもん!

第百三十二話  でも私は…







火曜日の5限…


彼と唯一同じ授業の選択科目の音楽の時間。


また彼を挟んで美波と三人で並んで座った。




昨日の由依の言葉が頭から離れずにいた私は気になって彼に直接聞いてみた




理佐「ねぇねぇ、西野くんは進路とか考えてるの?」

義雄「え、進路? 大学行くのかってこと?」

理佐「うん、それもあるし…西野くんたち上手いからプロになったりとかするのかなぁ、て…」

義雄「うーん……まぁ考えたこと無くもないけど…」

理佐「無いけど…?」

義雄「実際プロなんてなかなかなれないだろうし…」

義雄「それに…」

理佐「それに…?」

義雄「うん、なれたとしてもそれで飯食っていけるかっていうと現実的にどうかな…?」


理佐「じゃあ大学行くの?」

義雄「いや、大学は行かない」

理佐「え……大学行かないの?」

義雄「うん……」

理佐「え、何で何でー?」

義雄「大学生てさ、何か遊んでばっかいるイメージだし…」

義雄「そうじゃないとしても、あぁ言うふうにゆるーくダレた生活してる人たちの中に入るのって何だかさ、嫌なんだよね…」

理佐「そうなんだ…」


理佐「じゃあどうするの?」

義雄「うーーんと………」



義雄「そこは考えてない!」

美波「考えてないんかーい!!」

義雄「よくわかんないんだよね」

理佐「どう言うこと?」

義雄「毎日塾に行って必死に勉強してさ、高校三年間つぶして大学行ってさ、そこでリミッター外れてはっちゃけてさ、そう言うのもいいのかもしんないけど…」

美波「けど……?」

義雄「それよりオレは今の高校時代を精一杯楽しみたいんだよね」

理佐「ふぅーん……でも就職したら給料とかも大卒の方がいいんじゃない?」

義雄「いや、そう言うの嫌だからちゃんと実力で評価してくれるところに行くよ」

美波「へぇ~、ちゃんと考えてんじゃん」

義雄「まぁでも勉強したくないってのが一番かな?」

美波「何じゃそりゃ」

義雄「アハハッ、まぁまだ時間あるしゆっくり考えるよ」

理佐「うん、そうだね……でも私は…」

義雄「ん…?」

理佐「あ、いえ…何でもない」

義雄「………?」


「一緒の大学に行きたい」なんて言えば彼のことだから気を遣うのはわかってるから私は声に出しそうになるのをグッと堪えた……







第百三十三話へつづく…











< 138 / 208 >

この作品をシェア

pagetop