だって、恋したいもん!
第百四十九話 他になんていない!!
さっきの彼の言い方……
え……?
私に……?
え、やだ………
そんなこと考えてないで私も勉強しよう!
そして教科書を広げたものの……
…………手につかない…
それにしてもみんないつから居たのかなぁ…
全然気づかなかったよ……
マクドナルドの時もだよ!
みんな何であんなに上手に潜入出来るのかな?
私が気づかないだけ?
義雄「ありがとう、写し終わったよ」
と、彼がノートをこちらへ差し出した。
義雄「でもやっぱわかんないところあるなぁ~」
理佐「え?どこがわかんないの?」
と、私は彼のノートを覗き込んだ。
義雄「オレ楽譜も読めないからさぁ…こう言う記号とかもわかんないんだよねぇ…」
理佐「でも初歩的なのしか授業でやってないからすぐ覚えられるよ」
義雄「そう……?」
理佐「うん、フォルテシモにピアニシモ、スタッカートやアンダンテ……基本的なのばかりだよ」
義雄「ふぅ~ん……いつもタブ譜見て耳コピばっかだからなぁ~……ちゃんと楽譜の読み方も勉強しときゃよかったよ」
理佐「それが不思議なのよねぇ~……あれだけギター弾けるからてっきり楽譜ぐらい読めるもんだと思ってた」
義雄「うぅん、全然!うちで読めるのはかっちんがかろうじて読めるくらいかな?他はみんなダメ!」
理佐「よくそれであんなにみんな合わせられるんだもん!すごいよね」
義雄「演奏てお互いの呼吸だから……『息が合う』てのはそう言うことでしょ?」
理佐「私たちも出来るのかなぁ…?」
義雄「うん、絶対出来るよ!小池が頑張れば他はみんな経験者だから大丈夫だよ」
理佐「フフフ、西野くんに言ってもらえると何か安心する」
義雄「あ、そぉ?」
理佐「うん、私……そういう西野くんの雰囲気が好きなの……」
義雄「え……………!!!?」
理佐「……………………………………!!!?」
理佐「え、違うっ!そう言う『好き』じゃなくって!!」
義雄「え、あ……うん……わかってるよ」
義雄「渡邉さんに他に好きな人がいるってことぐらいわかってるよ……」
理佐「え、他になんていない!!」
と、私は咄嗟に手を机に叩きつけて立ち上がっていた……
義雄「え………」
と、彼が驚いた顔をしているとスピーカーから校内放送の音楽が鳴り始めた。
理佐「あ、もう下校の時間だ!」
私は恥ずかしくなり……
理佐「ごめん、先に帰るね」
義雄「あ、渡邉さん……!!」
と、言う彼の言葉も聞かずに慌ただしくノートと教科書をカバンに入れて図書室を駆け出していた。
第百五十話へつづく…