だって、恋したいもん!

第百五十三話  赤本







日曜日、



私は本屋へ向かうため自転車を走らせていた。



市役所前の御池通りから寺町通りに入るとアーケード街なので自転車を押して歩いた。



するとスピーカーからコンコンチキチン♪と祇園囃子が鳴り響いていた。



祇園祭、もうすぐだなぁ~…


期末試験の最終日が16日だからちょうどその日が宵山だ…



彼……誘ったら一緒に行ってくれるかな?


「みんなで」て言えばきっと大丈夫だよね…





そんなことを考えながら歩いていると本屋へと着いた。



自転車を停めて参考書の置いてあるフロアへと行くと、


ふと目に留まった赤本のコーナー。


大学ていっぱいあるんだなぁ……


てことはそれだけ大学生もいるんだよなぁ…



彼はホントに大学は行かないのかな?



私は………





大学に行く意味てなんなんだろう?


確かにみんながみんな行くわけじゃないし…


でも彼が行かないとなると卒業しちゃったらお別れ……?



え……


やだよぉ、そんなの………



もし付き合ってたとしたら……?


でも私が大学に行って彼は別の道で……




「ごめん、他に好きな子出来たから」


えーー!!


やだぁーそんなのー!!





「あんた何ぶつぶつ言ってんの?」


と、後ろで声がして驚いて振り向くと由依がいた!



理佐「由依!!?」

由依「あんた……何か恥ずかしいよ?」

理佐「え、やだ……私声出てた」

由依「うん、一人でなんか『やだよぉー』とか言ってるから……」

理佐「え、うそ……恥ずかしっ!!」


由依「下に自転車停まってたからいるんだろうなぁ、て覗いてみたら……」

理佐「え、どこ行ってたの?」

由依「てか、あたしも参考書買いにね」

理佐「あ、そうなんだ……」


由依「あんたここ赤本のコーナーじゃん!もう大学絞ってるの?」

理佐「いや、そうじゃないんだけど……」

由依「どうせ西野くんのこと考えてたんでしょ?」

理佐「えっ!何でわかんの!?」

由依「そりゃあんだけ百面相やってりゃね笑」

理佐「え、やだもぉー」



由依「で?買うもの決まったの?」

理佐「あ、私も参考書見にきたんだ」



と、言って二人で参考書のコーナーへと移動した。




理佐「由依は何買いに来たの」

由依「あたし数学……理佐は?」

理佐「私は化学」 





そして二人それぞれ参考書を選びお金を払って店を出た。







第百五十四話へつづく…











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