だって、恋したいもん!

第百六十二話  わかんないよ







そして五組の教室へ移動した。


教室へ行くともう生徒は誰も居なかったので私は自分の席に、彼は斜め後ろの由依の席に座ってもらった。



理佐「今日は図書委員、梨加だから怒られなかったけど、またこの前みたいに怒られちゃうとこだったよ」

義雄「アハハ……声大きいから」

理佐「ちょっと! 西野くんのせいだからね!」

義雄「あ、ごめんごめん……」


理佐「もぉー!真面目にやろうよぉー」

義雄「うん、わかった!」



そして彼は教科書を取り出して…


義雄「試験範囲てどこ」

と、私に聞いてきた。


理佐「えー!試験範囲知らないのー!?」

私は驚いて彼の教科書を覗き込んだ。

理佐「西野くんの教科書、キレイだね」

義雄「うん、使ってないから」

理佐「えー!授業出てるんでしょ?」

義雄「うん、広げてるだけ……てか本が汚れたりページが折れたりするの嫌だから……」

理佐「ふぅ~ん……キレイ好きなんだね」


理佐「ノートは?」

義雄「えっとぉ…歴史のはこれかな?」

と、手渡されたのでページを開いてみると…


理佐「え、ちょっと!何も書いてないじゃない!」

義雄「うん、キレイ好きだから」

理佐「違っ!!そうじゃないでしょ!!」

理佐「もぉー!それじゃダメなの当たり前だよ」

義雄「だって……」

理佐「だってじゃありません! じゃあ順番に要点言っていくから書いて!」

義雄「はぁ~ぃ……」

義雄「ホント渡邉さんて彼女みたい……」

理佐「え、ちょっと!何言ってんの!?そんなことあるわけないでしょ!」

義雄「え…あ、ごめんごめん……」



義雄「そうだよね、渡邉さんがオレの彼女になんてなってくれるわけないし…」



理佐「え……そんなの……わかんないよ……」





義雄「え………」



理佐「…………」





















理佐「え……もぉー!そんなこと言ってないで勉強しようよ!」

義雄「あ、うん………そうだね………」





試験週間で運動部もみな休みで静かな校庭ではセミの鳴き声が響き渡っていた……







第百六十三話へつづく…











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