だって、恋したいもん!

第百六十一話  小さな紙







しばらく二人とも無言で勉強していた。


ふと彼の手元を見ると何やら小さな紙に一生懸命に書いていた。




理佐「それ何?」

と、囁き声で彼に問いかけると…


義雄「カンペだよ」

と、答えた。


理佐「えーー!!ダメだよぉー!カンニングはー!!」

義雄「いいよ……だってこんなの全部覚えられないよ」

理佐「カンニングはダメ!!ちゃんと勉強しょうよぉ」

義雄「えー、だって今からやっても無理だしぃ」

理佐「そんなことないよ!ちゃんとやれば出来るよ!」

義雄「いいよ、そんなの……」


理佐「もぉ!!ダメです!カンニングは私が許しません!」

義雄「えーー………いいよぉ、赤点さえとらなきゃいいから……」

理佐「ダメ!!」


理佐「じゃあ私が試験に出そうなところピックアップするから、そこを重点的にやって」

義雄「えー……」

理佐「文句言わないの!みんなちゃんとやってるんだから!」

義雄「みんなカンニングしてるってばさ」

理佐「そんなことありません!ちゃんとやってます!」


と、少し声が大きくなってしまって周りの生徒が一気にこちらを見た。


そして図書委員のカウンターを見ると梨加も「シーッ」と人差し指を唇に当ててジェスチャーしていた。




理佐「ねぇ、教室に行って勉強しよう」

義雄「あ、うん……それでもいいよ」

と、言って二人で五組の教室に移動した。







第百六十二話へつづく…












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