だって、恋したいもん!

第百六十四話  古風







義雄「でも…オレのこと好きになってくれる人だったら……」



理佐「え………」

義雄「…………?」





理佐「それって……」

義雄「………ん?」

理佐「自分からは告白しないってこと?」

義雄「え………」


理佐「だって『自分のことを好き』てわかってる子じゃないとダメならそうなるじゃん」

義雄「え………そうなの?」

理佐「『自分が好きになった人』じゃなくて『自分のことを好きになってくれる人』なんでしょ?」

義雄「ん???」

理佐「相手が自分のことを好きだってわかってから告白するの?」

義雄「え??……そうなるの?」

理佐「そうなるじゃん!」



理佐「じゃあ私が先に『好き』て言わなきゃいけなくなるじゃん!」

義雄「え!? 何で渡邉さんが……?」

理佐「あ………」

義雄「え………?」



理佐「違うっ!!例えばの話!!」

義雄「あ、あぁ……例えば……ね」


理佐「じゃなきゃどうやって相手が自分のことを好きだってわかるの?」

義雄「あー……そうだよね……そうなるのかぁ……」


義雄「でもオレはオレで好きな人が出来たらちゃんと告白するよ!」

理佐「そうなの?」

義雄「うん、するよ!」

理佐「ふぅ~ん、そうなんだ……」

義雄「うん、やっぱそう言うのって男からするもんでしょ?」

理佐「フフッ、西野くんて意外に古風なんだね」

義雄「そう? でも女の子に告白されるってのもいいかも」

理佐「えー!それってすごい勇気いるんだよー」

義雄「うん、そうだよね……」



義雄「え!? 渡邉さん誰かに告白したりとかされたりしたこととかあるの?」

理佐「え!? ないよーそんなのー!」

義雄「そうなんだ……じゃあ初…」


義雄「あっ!いや、何でもない!!」

理佐「え、何ぃー!言いかけて止めるなんてずるーぃ!!」

義雄「いいよ、気にしないで!忘れて!!」

理佐「もおー!」



義雄「あ、えっと……じゃあオレこっちだから」

理佐「あ、うん……気を付けてね」

義雄「うん、渡邉さんも」


理佐「ちゃんと勉強してよ」

義雄「うん、わかった頑張るよ」

理佐「絶対だよ」

義雄「うん、じゃあね」

理佐「うん、バイバイ…」



そして彼は自転車で走って行った……



私は彼が見えなくなるまでその姿を見送っていた。





第百六十五話へつづく…











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