だって、恋したいもん!

第百六十五話  親友







そして彼と別れて家まで自転車に乗って帰った。


今日は雨も降らなそうだ。


時折顔を出す太陽はもう夏の陽射しで、肌に突き刺さる感じで容赦なく肌を焼いていく。



「また日焼けしちゃうなぁ…」

そう思いながらも間近に迫っている夏を待ち遠しくも感じていた。




そして家に着く頃には西の空に夕立ち雲が見え始めていた。

「やだぁ…夕立来るのかな?」

と、思った瞬間空がゴロゴロと鳴り始めた。

「あーん、カミナリ怖いよぉー」

と、急ぎ足で家に入った。



理佐「ただいまー」

母「おかえりー」

リビングに入ると美味しそうな匂いがしていた。


理佐「今日のごはん何ぃー?」

母「今日は唐揚げよ」

理佐「わーぃ、唐揚げ大好きぃー」

母「汗かいてるでしょ?シャワー浴びちゃったら?」

理佐「うん、そうする」

と、言って部屋から部屋着と下着を持ってきてお風呂場へと行った。





そしてシャワーを浴び終え、バスタオルで髪を拭きながらリビングへ入ると母が…

母「さっき由依ぽんから電話かかってたわよ」

理佐「え、そうなの? 何て?」

母「シャワー中て言ったらまたかけますて言ってたわよ」

理佐「あ、そう……じゃあちょっとかけてくるね」


そう言って二階の自分の部屋へと行った。



そして電話をかけると…


「はい、小林です」

理佐「あ、由依?」

由依「おー!理佐?」

理佐「うん、どうしたの?」

由依「うん、今日はどうだったのかな?て思って……」

理佐「どう、て?」

由依「あなたの恋い焦がれてる人とのことよ!」

理佐「え、ちょっとやめてよぉ……」

由依「どうだったの?」

理佐「え、いやまぁ…普通に勉強しただけだよ」

由依「うそ!? てか、でもそれもありうるか!?あんたたちなら…」

理佐「何それ!?」


理佐「でも勉強するって言っていきなりカンニングペーパー作りだすんだよ!」

由依「えぇー?カンニングペーパー!?」

理佐「そう!小さな紙に一生懸命に書いてるんだもん!」

由依「え?あんたそれ黙って見てたの?」

理佐「注意したよー!ダメだって!」

由依「へぇー……で?」

理佐「うん、一応はやめてくれたけど…」

由依「けど?」

理佐「ちゃんと勉強するとは約束したよ」

由依「へぇー……彼女みたいじゃん」

理佐「それ同じこと言ってたー!」


由依「で?今日から彼女になるからカンニングしないって約束したの?」

理佐「そんなこと言わないよぉー!」

由依「アハハッ、そりゃそうだわ」

理佐「ちょっともぉー!」


由依「で?勉強の話なんてどうでもいいのよ」

理佐「え……?」

由依「そっちの話はどうなのよ!?」

理佐「え……うん、まぁ……」

理佐「話の流れでね、好きな女の子のタイプは?て聞いたんだけど…」

由依「ほぉほぉ」

理佐「好きになってくれる人が好きだって言うのよ」

由依「ん?」

理佐「でもそれじゃ自分からは告白しないの?て聞いたら…」

由依「聞いたら?」

理佐「告白は自分からするって言うのね」

由依「何それ?」

理佐「でしょ?だから相手が自分のこと好きだってわかってから告白するんじゃんて言ったんだけど…」

由依「だけど?」 

理佐「なんか……本人もよくわかってないみたい」

由依「何だそれ?」


理佐「じゃあ私から『好き』て言わないといけないの?て聞いちゃって……」

由依「え!? あんたどさくさで告白したの?」

理佐「違うー!私も慌てて『例えばだよ』て言ったの!」

由依「そしたら?」

理佐「告白は男からするもんだって」

由依「何なのそれ?」

理佐「でしょー!もーわけわかんないよぉ」

由依「アハハ、まぁ仲良くやってたわけね」

理佐「うーん………」


由依「明日もやるんでしょ?」

理佐「あっ!約束してないや!!」

由依「じゃぁまぁ昼休みにでも三組に行ったらいいじゃん」

理佐「うん……そうだね」


由依「んじゃまぁまた明日ね」

理佐「うん、ありがとう」

由依「おやすみ」

理佐「おやすみー」



由依はこうやって必ず話を聞いてくれるけど…


どこまでが私のことを心配してくれて、


どこからが面白がってるのか……




でもそれが親友の良いとこなのかな?







第百六十六話へつづく…











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