だって、恋したいもん!
第百八十三話 ごまかしてるー!!
四人は自転車に乗ってそれぞれの方向へ帰っていってしまった…
義雄「じゃあ……」
と、言って彼は自転車を押して歩き始めた。
私もすぐに横に並んで歩き始めた。
理佐「祇園祭てまだ出店とか出てないのかな?」
義雄「あーうん、17日が巡行でしょ?その三日前からだから明日からじゃないと歩行天にならないね」
理佐「ふぅ~ん…詳しいね、西野くん」
義雄「うん、祇園祭は好きだからね」
理佐「何で?」
義雄「何か『今から夏が始まるよ!』て感じで良くない?」
理佐「あー確かにね♪ 梅雨が明けるのもその頃だもんね」
義雄「で、五山の送り火で夏が終わるかなぁ~て感じかな?あの火見てたらなんか寂しくなるんだよねぇ~」
理佐「そうなの?」
義雄「うん、何か夏の行事とか楽しみってお盆までに全部終わっちゃうでしょ?後は宿題するだけみたいな……」
理佐「そうかも!確かに最後の二週間は何もないよね」
義雄「ま、どっちにしてもバイトばっかしてるけどねぇー」
理佐「大丈夫なの?」
義雄「え、何が?」
理佐「身体は疲れない?」
義雄「うん、まぁ炎天下でやってるわけじゃないから…水仕事とかやってると家に居るより涼しくていいよ」
理佐「そうなんだ……」
義雄「ありがとう」
理佐「え、何が?」
義雄「気遣ってくれて……」
理佐「え、そんな……当たり前だよ」
義雄「優しいよね、渡邉さんは……」
理佐「え……」
義雄「オレやっぱり………」
理佐「え……………何……?」
義雄「いや、何でもない!」
理佐「え?何よぉー!言いかけてずるーい」
義雄「祇園祭楽しみだね♪」
理佐「えーもぉー!ごまかしてるー!!」
義雄「ほら!夕立ち来たらダメだから早く帰ろう!」
と、言って彼は自転車に乗って走り始めた。
理佐「もぉー!待ってよぉー」
と、私も自転車に乗って彼を追いかけた……
第百八十四話へつづく…