だって、恋したいもん!
第二十五話 ただの友達……
美波と別れて私は帰路についた。
また彼のバイト先の前を通ることになる。
近くまで来て自転車を降りて押して歩いていた。
すると彼がちょうど品出しに店先に出て来ていた。
彼がこちらを見て私に気づいた。
義雄「あ、渡邉さん♪」
理佐「西野くん……バイト頑張ってるね」
義雄「うん、土曜は朝から夕方までずっと!」
理佐「ここ、ご親戚のお店なの?」
義雄「うん、小学生の頃からちょいちょい親に連れられて手伝いに来てた」
義雄「で、こずかいもらってたよ」
義雄「高校になってからは正式にバイトでやってるんだ」
義雄「学校から近いし帰りに来れるからね」
理佐「へぇ~すごーぃ」
店先には美味しそうな焼き魚が並んでいた。
理佐「わぁ~美味しそう♪」
義雄「うん、ここのは高いけど美味しいよ♪」
理佐「へぇ~そうなんだ……一度お母さんに言ってみて買いに来るね♪」
義雄「うん、まけてもらうように叔父さんに言っとくよ」
理佐「ありがとう♪」
「おっ♪よしお!彼女か?」
と、店の人が出てきた。
義雄「え、違うよ!学校の友達!」
店員「へぇー、可愛い子じゃん!彼女にしちゃぇよ!」
義雄「もぉー!ただの友達なんだからそんなこと言ったら迷惑だろ!」
義雄「勇二さん仕事は?早く調理場に戻りなよー!」
店員「はいはい、邪魔者は消えますよー!」
と、言って中に入って行った。
私はそのやり取りに入る隙はなかった。
義雄「あ、ごめんね…デリカシーのない人なんだよ!いとこなんだけどね…」
理佐「あ、うん…大丈夫……」
ただの友達なんだ……
そうだよね、
ただの友達………
義雄「どうしたの?」
理佐「あ、うぅん…何でもない……」
理佐「じゃあバイトの邪魔しちゃいけないから帰るね」
義雄「あ、うん…じゃあまた明日♪」
理佐「うん、また……」
と、言って私は自転車に乗って家に向かった。
第二十六話へつづく…