だって、恋したいもん!

第三十二話  冗談ぽく?







理佐「その映画、今から見に行かない!!?」

義雄「え? 今から?」

理佐「うん、……よかったら…だけど……」


義雄「行きたいなー♪」

理佐「え? ホント!?」

義雄「あーでも……」

理佐「え……?」

義雄「夕方からバンドの練習でスタジオ予約してるから…」

義雄「ごめん……」

理佐「あ、……うん……いいの……」



理佐「急に誘っちゃってごめんね…」




そう言ってうつむき加減になっていると…



義雄「あ、でも……」

義雄「来週の日曜だったら行けるかも…」

理佐「え? ホントに?♪」

義雄「うん、来週はベースの奴が用事あるってスタジオ予約してないから…」

理佐「ホントに?♪」

義雄「うん、行こう♪ てか一緒に行ってくれるの?」

義雄「オレなんかとじゃ……」

理佐「うぅん、そんなことない!西野くんと行きたい!♪」

義雄「え?ホントに…ありがとう♪」


義雄「じゃあオレこの本買って読んでみるよ」

義雄「来週までに途中までは読んでおく」

理佐「え? 途中まで……?」

義雄「うん、だってラスト知ってたら見る楽しみが半減するじゃん」

理佐「あー……そうだね…」

義雄「うん、じゃあレジ行ってくるからちょっと待ってて」


そう言って彼はレジへ行った。


私は彼のことを見ていたが、

ふと由依のことを思い出し振り向くと、

そこに由依は居なかった…


あれ?

どこ行ったんだろう…

え?

どこまで見てたんだろう……



彼が戻ってきて階段を降り店の外へ出ると、


由依「おー、理佐ぁー♪」

由依がばったり出会ったかのように出てきた。


理佐「あれ?由依……」

理佐「どこ行ってたの?」

由依「行ってたの?じゃなくてこれから行くの! お買い物♪」

理佐「あ、そうなんだ……」


由依「あれ?西野くんじゃん」

義雄「あ、小林さん…」

由依「どうしたの?二人で…」

由依「まさか……デート?♪」

理佐「え、ちょっと由依ー……」

義雄「いや、渡邉さんがお薦めの本教えてくれるって言ってくれて…」

由依「へぇ~、それで『デート』?」

理佐「ちょっと由依ぃー!!!」

由依「へぇ~そうなんだぁ~」

理佐「ちょっとぉー!!!」


義雄「あ、でも来週映画行くからそれがデートかな?」

理佐「え……?」

由依「いつの間にそんな仲になっちゃってんのよー?♪」

由依「ま、お邪魔しちゃ悪いからまた後で聞かせてもらうね」

由依「じゃっ!♪」


と、言って由依は行っちゃった…



理佐「ごめんね、何か……」

義雄「いや、オレのほうこそ『デート』なんて言っちゃって……迷惑だったかな?」

理佐「いや、そんな……」

義雄「でも冗談ぽく言わないと小林さん引いてくれなさそうだったから…」


え?

冗談ぽく……?






第三十三話へつづく…












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