だって、恋したいもん!

第五十三話  転向







高嶋先生「はーい、席着いたかー」

と、言って先生が教室へ入ってきた。


生徒A「起立ー! 礼! 着席!」



そして授業が始まりお喋りは中断された。


音楽の授業はいつもたいしたことはなく、

得意な楽器をひとつ持っているとそれだけでそこそこの成績はもらえる。

なのでこの授業を選択している者はほとんどが何かしらの楽器の経験者。


私はピアノ、美波はクラリネット…

そして彼はギター。

定期テストでペーパーテストはあるものの、

実技で何かしらの曲を一曲弾けばペーパーテストは悪くても単位はとれるらしい。

曲は自分で選択していいので皆それぞれ好みの曲を選んで演奏出来るので楽。

そんなだから授業も緩い。


高嶋先生は本気の演奏に関してはかなり厳しいと吹奏楽部の美波は言っていた。

先生は吹奏楽部の顧問、部員である美波はそれを良く知っている。

ただ、この音楽の授業では人が変わったようだと言っていた。

私は部活の先生を見ていないからただ「優しい先生」としか印象にないのだけれど…

他の実技系の選択科目も話を聞いていると同じような感じらしい。

美術を選択している由依も言っていた。

受験にも関係ないのでこんな感じになるんだろうね。



そんなことを考えている間に授業は終わった。



高嶋先生「はーい、今日はここまでねー。もうすぐ中間だけど頑張ってねー♪ まぁ実技系は中間ないから先生も楽だわー♪」

と言う先生の言葉に皆安堵の笑いが洩れた。




美波「ねぇねぇ西野くん?」

義雄「ん? 何?」

美波「今、軽音てガールズバンドて誰もいないの?」

義雄「あー、うん…男ばっかだね」

美波「女子の部員もいないの?」

義雄「うん、活動してるのはいないなー……」

義雄「どうして?」

美波「いやぁ~あたしも吹奏楽辞めて軽音に転向しようかなぁ~とか思ったりしてね」

理佐「え? 美波、吹奏楽部辞めるの?」

美波「うん、まぁまだ考えてるんだけど…」

義雄「いいじゃん♪ メンバーはいるの?」

美波「うぅん、まだあたしと理佐だけ」





理佐「えーーー!!!」







第五十四話へつづく…










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