だって、恋したいもん!

第六十話  エンドロールも







上映のブザーが鳴り、新作映画の上映予告のCMが流れ始めた。


義雄「オレ、映画て久しぶりかも♪」

理佐「そうなんだ…でも私も久しぶりかも」

と、答えたが彼が隣に座っていることにドキドキして彼の顔が見れなかった。


義雄「あ、ポップコーン食べてよ」

と、言って彼の左膝の上に置いて差し出してくれた。

私は右手を伸ばしてそのポップコーンを一粒ずつ食べた。


何度か手を伸ばしていると彼の手と触れる瞬間があった。

義雄「あ、ごめん」

理佐「いえ、私こそごめんなさい」

そんな状況だものドキドキして映画どころではなかった。


ただ、時折彼の顔を横目でチラ見するが彼は映画の中に入り込んでいるようでほとんど喋らなかった。


すごい集中して見るタイプなんだ…


そんなことを考えているとふいにバイクの爆音が鳴り響くシーンがあり、

私は、

「キャッ!」

と、驚くと必ず彼が「大丈夫?」と声をかけてくれた。


やっぱり思ったとおり…

なんかね…

そう言うところが好きなの♪



そうこうしているうちにおよそ110分の映画は終わりを迎えた。


あっと言う間だったなぁ…

印象に残ったのはバイクの大きな音と原田貴和子のキレイな声♪

あんな声に生まれたかったなぁ~

と、ぼんやりとしていたけれど…


あ、終わっちゃったけど彼は?

と、横を見るとエンドロールだけどしっかりとスクリーンを見ていた。

へぇ~最後まで見るんだー……



他のお客さんはどんどん立ち上がって外へ出て行ってるんだけど…

一番後ろの席だからみんな見ていくんだけど…


理佐「ねぇ、西野くん?行かないの?」

義雄「あ、うん…ごめん最後まで見たいんだ」

理佐「あ、そうなの?」


そう彼が言うので立つに立てなかった…

まぁいいや、その分彼の横に居てられるんだから…

と、無意識に彼の肩に寄りかかっていた。


義雄「え?」

と、彼がふいに言って私は我にかえった。

理佐「あ、ごめんなさい!」

と、すぐに離れたけれど彼は…

義雄「あ、ごめん疲れた?いいよ寄りかかっても」

と、言ってくれたけどさすがに恥ずかしくてもう一度寄りかかるなんて出来ないよぉ…

理佐「うぅん、大丈夫…ごめんね」

と、言うとちょうどエンディングソングが終わり…

義雄「ごめんね、行こうか?」

と、立ち上がって彼は言った。

私も立ち上がり彼のあとについてロビーに出た。




義雄「さて…お昼ごはん行こっか?」

義雄「渡邉さん何食べたい?」

理佐「えー、そうだなぁ~……マックとか?」

義雄「え?それでいいの? あー、まぁでも待ち合わせまで時間あるからその方がいいかな?」

理佐「うん、そうしょ♪ マック行こうよ♪」

義雄「じゃあ、新京極の中が近いかな?そこ行こっか?」

と、言って二人で並んで歩き始めた。







第六十一話へつづく…












< 62 / 208 >

この作品をシェア

pagetop