高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい

「もしもし?」


 急いで電話に出ると向こう側で慌てている声が聞こえてくる。状況を把握した華は勢いよく立ち上がり、駆け出した。


「患者さんはっ!?」


 廊下で看護師と合流し、状況をもう一度把握する。


「305号室の高橋さんですが既に呼吸が浅いです」
「そう……ご家族に連絡したほうがよさそうね」
「そうですね……」


 何年医者をやっていてもこの瞬間とは辛いものだ。二十二歳という若さで乳がんを発症した高橋は癌を発見するタイミングが遅れたことにより、癌だと診断されたときにはかなり進んでいた。若いとなおさら進行は早く、華も一生懸命に治療法を考え、一緒に戦ってきたが、ついにこのときが来てしまったのだ。


 死亡診断書を書く手が細かく震える。

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